副腎疲労の深い深い海の底に落ちていくスピードは、今思い出してもとても速かったです。
気づかないうちにどんどん潮に流されて、漂流し、もう戻れない所まで連れていかれてしまうような感じでした。
ある朝、僕はドリーと、デニーズに朝食を食べに出かけました。ドリーは夜更かしの人なので、いつもは一人で朝食を食べますが、たまに2人でファミリーレストランの朝食を食べに行くのは小さな楽しみでした。
とは言っても、僕は定番のブレックファストメニュー(トーストやパンケーキに、卵、ソーセージやベーコンなど)だと食べられないものが殆どなので、和定食のサケ、海苔、ごはんは雑穀にして、追加でサラダを注文する、と言う感じです。
日当たりのよい席で向かい合って食事しながらしゃべっていた時、なんだか自分の口がちゃんと動いていないような気がして、普通にしゃべっているか気になりだしました。
下あごがやけに重いんです。開いた口が戻ってこない、戻す力がなくなったような感じでした。こんな風にしか言い表せないんですが、わかってもらえるでしょうか?
口を動かすことにしんどさを感じる、あごを上げ下げするエネルギーがない。そんなことってあり得るんだろうか?と思いました。
ドリーに「僕のしゃべり大丈夫?なんか口を動かしにくいんだけど」と聞きました。すると「全然。普通にしゃべってるよ。ろれつも回っているし、発音も変じゃない。いつもと変わらない」と答えました。
周りからはまったく普通に見えているのに、僕の中ではどんどん普通じゃなくなっていく。体が一つ一つ壊れていく。本当に悪夢の中を生きているようでした。