僕が副腎疲労だという診断を受けたのは、今からおよそ6年前のことです。その時に初めて『副腎疲労症候群』という言葉を知りました。そこからウエブサイトや書籍、動画などで副腎疲労について、毎日毎日、時間があればリサーチをしました。僕だけではなくドリーも一生懸命リサーチしてくれました。
そんな時に、副腎疲労になった人が自分の治療体験を話している動画を見つけました。その動画を数回見て、僕が思った事は、「この人のケースとは比べものにならない、この人に比べると僕はずっと軽い」という楽天的な考えだったのです。
その人は、10年もの長い期間、疲労と鬱状態が続きましたが、専門医について治療を始めて10カ月ほどで、ほぼ普通に暮らせるようになるまで回復したのです。フルタイムの仕事に戻り、庭のガーデニング作業もし、週に数回ジムにも行けるようになったのです。「自分が人生を取り戻せたのはドクターのお蔭だ」と話していました。そのドクターが、僕が今治療を受けているドクターなのです。
この人が10年もの間副腎疲労に苦しんでいたのに10カ月ほどで元気になれたのであれば、僕はそれよりずっと早く回復できるはずだと確信したのです。ビデオの中でその人が話す体の不調は、自分の状況よりずっと大変そうだったからです。それに、過去に病気などほとんどした事もなければ、鬱っぽくなったこともない、30年以上ジムに毎日通ってトレーニングを続けてきた僕なら、すぐ元気になれるはずだと思ったのでした。
事実、6年前にはじめて「副腎疲労」とわかった時の僕は、まだ結構できることがありました。海外旅行にも行き、レンタカーを借りてドライブし、ビーチに行ったり、レストランに食事にも出かけました。やらなければならない仕事は、しんどいと思いながらもちゃんとやりきりました。朝、重い体をなんとか起こして電車で出かけ、しっかり夜まで働いて、たまに仕事のあとで友達に会ってビールを飲んだりもできていたのです。
しかし同時に、以前できていたことができなくなった、そんなことも結構ありました。ジムでトレーニングすることはまったくできなくなっていました。またセミナーなどで長時間話すことができなくなりました。かつてはなんてことなかった、教壇に立って指導することがきつくなってしまい、座ったままになってしまいました。エネルギーが抜け落ちてしまったようでした。また人混みや緊張する場面でパニック発作を起こしたり、起こしそうになって心配がどんどん膨らんでいました。そして問題が起きた時や、想定外の状況にうまく対応することができなくなっていました。
当時、抱えていた問題は、
*極度の疲労感
*無気力
*すぐに腹が立ち、イライラする
*気分のむら
*記憶力が悪くなる
*脚が極端に弱くなる
*眠れない
*空腹時の立ちくらみと不安感
*パニック発作
*歩くと息切れする
*睡眠中の手足の動き
*睡眠時の頻尿
このような症状がありましたが、それでも動画で見た人よりずっとましだと思っていたのです。こんなにひどい状態でかわいそうだな・・・などと思っていました。
あれから6年、なんと僕はまだ治療中です。10カ月もかからないだろうとタカをくくっていた自分が、まだ仕事もフルにできません。まだジムに行けません。走ることもできません。かわいそうだと思っていた人より、自分の方がずっとずっと重症だったのです。
後になってわかったことですが、あの頃、僕がなんとか動けていたのは、アドレナリンを異常に出して、無理無理からだを動かしていたわけです。そして最後の力をふりしぼって頑張っていた副腎が、とうとう力尽きたということなのです。
あの日、副腎疲労の人の動画を見た時の気持ちを今でも決して忘れることはありません。
「この人のように、絶対自分も元の健康な体と生活を取り戻せる!」
そして、今副腎疲労を治すために頑張っている皆さん、決して諦めないで下さい。