このブログで以前、僕が使っているベッドのマットレスの中心部が凹んでいて寝苦しく、畳に布団を敷いて寝てみたら、驚くほど呼吸が楽になって、一晩中ぐっすりと眠れた話をしました。
その後、和室で布団を敷いて寝る日々をしばらく過ごして、ついにベッドとマットレスを買い替える決断をしました。畳ベッドにして、その上に敷布団を敷いて寝ることに決めました。
そこで、先日、古いベッドを粗大ごみに出したのですが、それがものすごい重労働で、危うくクラッシュしそうになるほどギリギリの事態でした。その話を聞いて下さい。
僕が15年程使っていたベッドは、ダブルサイズでフレームもマットレスもものすごい重量がありました。これを処分するにあたり、ドリーから再三聞かれていました。
「このモンスターベッドを、マンションのごみ集積所まで二人で運べると思う？ものすごい重いよ」「難しいようなら、便利屋さんとか不用品引き取りの業者の人を呼ぼうと思ってるけど・・・」と。
1年前なら迷わず「無理」と答えていましたが、体も回復してきて、エネルギーレベルも上がってきて、毎日気分も良く、重症ステージから抜け出しそうな段階だから大丈夫だろうと思い、「できるよ」と答えました。
ドリーは、日頃からシーツの交換をする時に、ちょっとマットレスを持ち上げるだけでシャレにならないほど重いことを知っていたのです。僕はもちろんそんなことやったこともないし、どのくらい重いのか、本当のところわかっていませんでした。
ドリーは、その後も3～4回、同じ質問をしてきたのですが、その都度「できるできる」と答えていたのです。
元気だった頃、僕は毎日ジムに通ってウエイトトレーニングをやっていたし、学生の頃、引越し会社でアルバイトをしていたこともあったので、台車に乗せて運べば大丈夫だろうと、たかをくくっていたのです。
まず、マットレスをベッドから外し、そこではじめて、このマットレスがあり得ない重さであることを認識したのです。おそらく40～50キロはあるはずです。重くても小さければまだなんとかなりそうですが、そのダブルサイズの大きさ、コイルが入って厚さが25センチはあり、ちょっと油断するとバランスを崩して、モンスターマットレスに押しつぶされそうになります。二人でなんとか縦にしてフローリングの床を滑らせて廊下まで出しました。
フレームだけになったベッドを眺めながら、解体できる部分を一つずつ解体することにしたのですが、これがまた大変で、10年以上ほったらかしだったネジはガチガチに固まっていて、力いっぱいドライバーを回してもびくともしません。ドリーと交代しながら、格闘しなんとかベッドの足と横の板を外す事ができました。これらは難なく部屋から運び出し、リビングルームの隅に移動しました。この作業でも、自分の握力が弱くなっていることを思い知らされます。
さて、寝室に残ったヘッドボードの重さが半端ないことに、二人でしばし考え込んでしまいました。持ち上げることなど無理で、ドリーが「引越しの人がやっているように、下に毛布を敷いてずるずる引っ張ろう」と言い、なんとか床とヘッドボードの隙間に毛布を滑り込ませ、そのまま引っ張ってリビングルームまで押して移動できました。
その後、新しいベッドを組み立てる予定だったのですが、僕もドリーももう力尽きて、そのまま二人ともソファに座り込んで、しばし無言のまま何もできずにいました。ここからの回復力に僕はまたまざまざと自分がまだ副腎疲労であることを自覚させられることになりました。ドリーは30分ほどソファーでやすんだら、もう大丈夫だと立ち上がって作業を続けようとしたのですが、僕はとてもそんな感じではありません。
モンスターマットレスとの格闘で、完全にノックダウン状態でした。体内のありとあらゆるシステムが火を噴いているような感じになっていました。副腎疲労重度の方が読んで下されば、どんな感じか理解して頂けると思います。持てる限りの全エネルギーと体力を使い果たしてしまった感じで、もう何も残っていないのです。
30分で回復したドリーが、ベッドの組み立ては簡単だから一人でやれる、と言って寝室に戻って作業をはじめたあと、90分間僕はソファーから動けずにいたのです。情けない・・・。
結局、回復するのに2時間かかってしまいました。でも、正直なところ、2時間かかろうが3時間かかろうが、回復できたことに本当にほっとしていました。クラッシュ寸前でした。一歩間違えれば、ここまで回復していた体調がまた後戻りしていたところです。
副腎疲労に長年苦しんで来た人にとっては、ほんの少しでも体力を取り戻せたら、それはもう宝物のように大事なものなのです。もう絶対に手放したくないものです。何年もかけて、失敗を繰り返しながら、やっとのことで取り戻し始めたばかりの大事なエネルギーなのです。
僕が異化状態から抜け出したのはほんの半年前の事です。そんな貴重なエネルギーをいじり回すわけにはいかないのです。大事に大事にしたいと思って毎日生きています。それが、こんな粗大ゴミの古いベッドを運んだがために失うなんて、絶対にダメだ、と思っていました。
その夜、ドリーが一人で組み立ててくれた新しいベッドに新しい布団を敷いて寝たのですが、やはり新しいベッドに（今回はダブルではなく、シングルにしました）体が慣れていないせいか、ちょっと眠りが浅く、布団の固さも感じて、ちょっと背中やわき腹が痛いなーと思いながら、翌朝目を覚ましました。
この日は、前の日にバラバラにしたベッドとモンスターマットレスをゴミ集積場に運び出さなければなりません。
食事を終え、まずは軽いものから運び始めました。フレームの横板や足などを3回に分けて運び、ここまでは問題ありません。
次にあの半端ないヘッドボードです。台車に乗せようとしましたが、とにかく重い、でかい。家庭用の台車に到底乗りません。結局、半分も台車に乗らず、はみ出た部分をドリーに支えてもらいながら、ゆっくりと台車を押していきます。
悪い事に我が家は、マンションのエレベーターから一番離れた角部屋のため、長い外廊下を、台車がバランスを何度も崩しそうになるのを抑えながら、途中で3回ほど休憩を入れ、エレベーターホールまで押していきました。
エレベーターに乗せるのにまた一苦労、やっと載せて1階まで下りると今度は降ろすのにまた一苦労。玄関のドアから出て、5メートルほどのところのごみ集積所におろした時にはもう二人ともフラフラでした。
残すはあのマットレス。ここで再びソファに座り込んで休憩が必要です。ドリーもちょっと休もう、と言って、寝室のベッドにゴロンと横になり、目を閉じてじっとしていました。
30分程休んで起きてきたドリーはあるアイデアを話してくれました。じっと目を閉じてマットレスの運び方を考えていたそうです。まずマットレスを横長にして立て、その底に段ボールを敷き、荷作り用の紐で3か所ほどしっかりと結びつけます。そして紐を横にも渡してしっかりと結びます。これで廊下を引っ張って行き、エレベーターに乗せるのは大変、またはサイズ的に乗らない可能性もあるので階段を使い、抱えて運ぶのは到底無理なので、階段の上部から滑らせるようにマットレスをつき落とし、踊り場で回転してまた滑らせて落とすを繰り返し、1階まで持って行こうということです。
このアイデア、完璧でした。僕がマットレスに結んだロープを引っ張り、後からドリーがマットレスを押して、段ボールがちょうど良い具合にソリの役目を果たし、途中でまた2回ほど休憩を取りながら階段の前まで順調に運ぶことができました。さて、部屋がある3階から1階までマットレスを引っ張りながら滑り落とすのは思っていたより大変ではありましたが、これも概ねうまく行き、1階まで下りたところで、一度休憩、息を整えて玄関ドアから集積所まで引っ張って運ぶことができました。
ゴミ集積場所までモンスターマットレスを運び込み、思わず二人でハグして喜んでしまいました。なんという達成感！
古いベッドを捨てるということが、想像以上に大変な一大プロジェクトになってしまいましたが、この作業を通して僕はまだまだ役に立たないことを実感しました。特に、何か重い物を持ち上げるという動きが非常に体に負担になることがわかりました。押したり、引いたりはまだ良いのですが、持ち上げるのがとにかくキツイのです。その力仕事を、ドリーにほぼやってもらわなければならない結果となってしまいました。「明日は筋肉痛だわー」と明るく言ってくれましたが、この作業のあとドリーはまたベッドで横になって休憩しなければならず、夜まで両手がジンジンしていたようです。僕一人では絶対にできませんでした。「できるできる」なんて言って、本当に反省しています。ごめんなさい。そしてありがとう、ドリー。
副腎疲労の皆さん、力仕事はいけません。まだダメです。お金を払ってでも、誰かに任せましょう。自分のエネルギーは温存しなければなりません。僕自身、そのことを改めて認識した一日でした。
