「森林浴」セラピー

副腎疲労の最大の原因、ストレス。

今までにもブログでストレスの対処方法について書いてきましたが、きょうも一つ書いてみます。

日本人の皆さんにとっては、とても馴染みのある言葉だとドリーに教えてもらいましたが、僕にとっては新鮮な響きでした。

Forest bathing:森林浴です。 

副腎疲労症候群だということが検査で判明し、ドクターの指導の下、治療を始めた年、ドリーが軽井沢に連れていってくれました。僕にとっては初めての場所でした。

東京から新幹線であっという間に到着したその場所は、木々とひんやりと澄んだ空気に包まれた素晴らしい場所でした。ピークの夏が過ぎ、秋の人の少ない時期でした。こんなに気持ちの良い場所が東京から気軽に行ける所にあったことを、僕はこの時まで知りませんでした。

旧軽井沢のメインストリートからすぐの静かなホテルに泊まったのですが、ホテルのすぐ裏手は、木立と川のせせらぎ、別荘が点在する別世界です。

forest

子供の頃、両親が僕と妹を湖に連れて行ってくれたのですが、あの光景が蘇ってきました。巨大な木々が立ち並ぶ中を歩きながら、子供心にも自然の力を感じることができました。 音、匂い、美しい緑と木の茶色。決して忘れることはありませんでした。

軽井沢で、あの子供の頃に戻るような感覚で、木々に惹きつけられるように、僕は森の中を歩き始めました。

なんて気持ちの良い、すがすがしい、何とも言えない幸せな気持ちになりました。なんども深く呼吸をしました。

数日の滞在でしたが、僕は毎朝、ドリーがホテルの部屋で身繕いをしている時に一人で散歩に出かけ、森の中を何も考えずとにかく歩き回っていました。歩いていると、あっという間に1時間が過ぎ、魔法にかかったかのようにとにかく木々の間を夢中に歩いたのです。子供の頃に森でもらったパワーと同じ力を感じることができました。なんだか自分がこんな感覚で緑の中をフワフワと歩き続けていることが信じられないような感じでした。

とにかくあの頃、疲れ果て、不安な気持ちや絶望感でいっぱいだった僕が、フワーッと楽になるような、そんな感覚になりました。

すっかり軽井沢の魅力にはまってしまい、その後もまた雪が降る季節に訪れ、「寒いから嫌だ」というドリーをホテルの部屋に残して、また一人で森の中に迷い込むように吸い込まれて行きました。

trees with snown

森や木々が人に与える影響について興味を持った僕は、ちょっとググってみると、今、アメリカやカナダでは、『日本からやって来た“森林浴”というものが「セラピー」や「自然療法」として注目され、実際に医療の現場でもその効果が実証されている』ということを知り、ドリーに「日本ではForest bathingというものがあるのか」と聞いてみたところ、なにも特別なものではなく、山や森で軽いハイキングや散策をすることを「森林浴」と呼び、仕事で忙しい日々からちょっと解放されて、自然の中でリラックスしたりストレス解消する気軽なものだと教えられました。

欧米でにわかに脚光を浴びている「Forest bathing:森林浴」。健康上の利点について、以下のような効果が分かったそうです。

1.ストレスの軽減

ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させます。街中での散歩と比較しても、その効果は大きく、実際に不安感が和らいだという結果が出ているそうです。

2.気分を改善する

幸福を感じるホルモンを放出し、満たされた気持ちが沸いてきます。 

3.創造性を豊かにする

スマホなど現代のテクノロジーから完全に開放されて自然に浸ることで、問題解決などの創造的な方法を考える思考力が良くなったというレポートがあります。 

4.免疫システムを強化する

木や植物は「フィトンチッド」を放出し、森林で時間を過ごすと、このフィトンチッドを体に取り込み、病気と闘う細胞が活性し免疫が高まります。

5.高血圧を減らす

森林浴によって血圧を下げることも証明されているそうです。 

6.病気からの回復を加速させる

自然は、体の回復プロセスを促進してくれます。

このように、森林浴には多くの利点があります。それは僕の想像だけではありませんでした。

今もあの森の中を想像すると、あー、また行きたい、あの緑に囲まれたい、と言う気持ちになります。

許されるなら、軽井沢のような場所でゆっくり療養することができれば、この忌々しい副腎疲労からずっと早く回復できるのではないかと、本当に思います。