FXをやってみたら、ストレスレベル急上昇で断念

2019年。副腎疲労とわかって治療をはじめてから3年。

やっと自分で回復を実感できるようになり、今年の春から少しずつ仕事を始めました。

夏には、副腎疲労回復の一番の難関とされる異化状態から抜け出すことができ、体を動かすことが格段に楽になって来ました。

体調が改善してくるにつれて、もっと何かやりたくなります。とは言っても、まだフルタイムでガッツリ仕事をするのは不可能なので、家にいながら、肉体的に楽で、興味が持てること、そしてうまくすればお金を稼ぐ事もできる事をやってみようと思い、FOREX(為替取引)をやってみました。

ドリーは以前から時々FXをやっています。僕が寝た後、夜の2~3時間チャートを見て、チャンスがあればエントリーするという、お小遣い稼ぎ感覚で趣味程度にやっているのですが、僕もちょっと興味が沸き、試してみようと思ったわけです。

FX chart

最初は、チャートをどう見ればよいのか、取引の仕方もまったく見当がつきませんでしたが、ドリーがゆっくりと教えてくれました。

FXをするには、システムのセットアップから通貨ペアの学習、レバレッジ、インジケーターの使い方、財務指標アナウンスメントの確認など、やるべき事が非常に多くあります。

また、エントリーチャンスを掴むには、準備ができている必要があります。そうしないと、波をキャッチできません。そのため、PCの前に座ってチャートを睨みながらそのチャンスを待つ必要があります。

子供のお小遣いより少ない金額から始め、最初の数週間はとても楽しく、ドリーが使ってみたらと勧めるインジケーターとレートの動きを見ながら、FXとはこういう風に取引するのかと、ゲーム感覚で楽しんでいました。

次第にいくつかのことに気付き始めました

集中し過ぎていました。何時間もPCの前に座って、チャートを凝視し、他のことをまったくせずに値動きだけに注意を払い、いつエントリーするか、いつポジションを閉じるか、ものすごい集中力でやってしまい、かつて体のバランスを崩すまで仕事をしていた時と同じような状態になってしまっていたのです。

trading

次に気づいたのは、頭の中があまりに忙しく、レートのことばかり気になって、常に脳が走っている状態になりました。頭が休まることなく、いつもどうしようどうしようと考えているのです。

朝起きていつものようにヨガをした後、良い気分になっているのに、PCの前に座ってチャートを開き、モニターに集中し始めるとすぐに、脳が刺激されるのを感じました。

エントリーしてポジションを持つと、シャワーを浴びていても、何かやっていてもポジションのことが気になり、落ち着きません。頭の中で常にFXのことを考えていて、そこから離れることができず、自分でコントロールできなくなっていました。

そわそわして落ち着くことができなくなり、ドリーにも注意されるようになっていました。

それから、自分の呼吸がちょっと変わってきていることに気づきました。

副腎疲労になってから、リラックスするために呼吸法も気をつけ、お腹でゆっくりと呼吸するように習慣づけてきたのに、呼吸が浅くなり、胸が上下するような速くて浅い呼吸になっていました。この呼吸の仕方は、かつてものすごいストレスとプレッシャーで、ハアハアと息をするようになっていた頃の呼吸です。

ある日、午前8時30分から午後5時まで、ほとんどPCの前に座ってチャートと睨めっこして取引し、食事や軽食のために何度か短い休憩を入れましたが、一日のほとんどの時間をPC画面に向き合っていました。ものすごい集中力で、取引に没頭していました。やはり呼吸が浅く、胸が大きく動き、気持ちが落ち着かず、頭の中も常に忙しい感じがしていました。

いくつかエントリーしたポジションが揃ってマイナスになっていて、その金額をじーっと見つめながら、決して大金を使っているわけではないのですが、マイナスを見るのはやはり気持ちの良いものではありません。

5時頃にキッチンからドリーが夕食に呼んでいる声が聞こえ、僕は席を立って、食事を始めたのですが気持ちがまったく落ち着きません。食べているのに味も感じず、ポジションがどうなっているかずっと気になっていました。夕食を終え、すぐにPCのところに戻って、ポジションがなんとかプラスになっていたのですべてクローズしてこの日のトレードを終えました。

そこでようやくリラックスし始め、呼吸も深くなり、頭の中で数字がグルグル回っていたのも止まり、やっと普通の精神状態に戻ったのです。

その夜、ドリーにもまた注意されました。「またいつもの”やり過ぎ”が戻って来た、FXなんてゲームみたいなものだと思って気楽にやらないとダメだ。ストレスになるのならやめなさい。あなたには合わない。」と。

この日を最後に、PCにチャートを出すのはやめました。自分に言い聞かせました。まだ体も精神も、このようなストレスに対応できない、ちょっと早すぎた、と。

結局、このストレスに対応できなかった僕は、1か月も経たずにFXをやめ(させられ)ることになったのでした。