副腎疲労と自律神経失調症

ストレスを完全に避けて生きることは不可能ですよね。社会のありとあらゆるところに、ストレスの元があります。

特に、僕は外国人なので、日本人にとってはなんてことないことが結構ストレスになります。

日本で生まれ育った日本人の皆さんにとっても、一人一人ストレス要因は違っていると思いますが、家族の問題、仕事関係、自分のキャリア、お金、健康、恋愛など、人生で様々なストレスを受けながら生きているはずです。

stress

ストレスを受けると、自分では気づかないのですが、自立神経系がダメージを受けます。

強いストレスを受け続け、癒す間もなくまた新たなストレスを受け、それが連続すると、交感神経ばかりが活発な状態が続きます。副交感神経の出る幕がなく、バランスが崩れて自律神経系は完全にやられてしまいます。

ストレスを受けた時、自律神経システムではどんなことが起きているのか、そして副腎にどのような影響を与えるのかを、しっかり理解しておきたいと思います。

人がストレスを感じると、脳の中の視床下部というところがものすごい仕事をします。まるで空港の管制センターのように、体のあらゆる所に指示を送ります。その指示を送る経路が自律神経系なのです。

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体の様々な器官に、緊急体制に入るように指令が送られるシステムで、自分の意思でどうこうできるものではありません。

様々な器官は、スイッチを一気にオンにして、ストレスに対し”闘うか逃げるか”というモードに入ります。

副腎にも指令を送り、副腎は一生懸命ポンプを押して、エピネフリンやアドレナリンを出します。

エピネフリンが血液に乗って体全体に行き渡ると、色々な変化が起こります。それは人が実際に感じられる変化です。

心臓が速く脈を打ちます。脈拍が上がると、血圧も高くなります。

呼吸も速くなります。肺が大きく開いて、一回の呼吸でできる限り多くの酸素を取り込みます。

酸素は脳に送られ、感覚が鋭くなったと感じます。視覚や聴覚が研ぎ澄まされたような感じになります。

副腎から出たエピネフリンは、体内に蓄えられていた血糖と脂肪を一時的にドバーッと放出させます。これらの栄養素は血流にのって、体全体にエネルギーを供給します。

このようにして、体はストレスと闘います。

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ストレスがなくなれば、体内のコルチゾール濃度が低下し始めます。副交感神経系が働き始め、体をリラックスさせ、心拍数は下がって、筋肉はリラックスします。

テンパっていた体は癒され、ストレスから回復することができるのです。

このようにして、自律神経システムと副腎は、通常はストレスをうまく処理できるのですが、強いストレスが次から次へと押し寄せて来るような異常な事態では、それができなくなってしまいます。

交感神経は休めず、副交感神経系はまったく出番が無し。体を癒してリラックスさせるチャンスが全くないということです。

副腎も同じように働き過ぎで、ずーっとエピネフリンを出し続け、体は四六時中戦闘モード、または逃走モードで居続けることになります。誰だって、疲れ切って機能できなくなってしまうのです。

そんな毎日を僕は何年も続けてしまったわけです。交感神経はずーっとオンになったままで、自分の体が自分の体じゃないと気づいた時には、もう回復できる時期をとうに過ぎていたのです。