副腎疲労と神経伝達物質の話(下)

前回に続き、きょうのブログも神経伝達物質についてです。

今回は代表的な神経伝達物質と、それぞれの役割について説明したいと思います。そして、副腎疲労の体にとって、神経伝達物質の不均衡がどのような影響を及ぼすのか、ドクターの解説と自分の経験からお話しします。

この記事を読みながら、自分の体が何だか変、自分の思ったように動いていない、一体なんじゃこりゃ・・・と感じている人に光を当てることができればと思います。

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皆さんも以下の名前を聞いた事があると思います。代表的な神経伝達物質です。

  • アドレナリン
  • セロトニン (5-HT)
  • ドーパミン
  • ノルエピネフリン
  • アセチルコリン

アドレナリンは、副腎疲労の人なら全員知っているはず。「闘争か逃走か」反応を司っています。

僕が副腎疲労で完全に限界を超え、クラッシュしてどうにもならなくなってしまう直前、自分は何でもできる、まだまだやれるという異常なやる気と興奮を感じていました。ものすごく忙しくて、追い詰められていたにも関わらず、なぜかまだまだできる、僕って最高!という変な高揚感で、ドリーにもよく言っていました。それはアドレナリンのせいだったのです。すでに副腎疲労が進んで、コルチゾールが不足していた頃、体内ではアドレナリンが過剰に分泌されていました。アドレナリンのせいで気分が高揚し、神経が高ぶって交感神経がビンビンになり、心臓はバクバクして、パニック発作を起こすことも増えていました。

セロトニンは、そんな興奮を抑えるブレーキの役目を持っています。心と体をリラックスさせ、穏やかな気分にさせてくれます。またセロトニンは、眠るためのホルモン「メラトニン」の材料にもなるため、睡眠にも影響します。セロトニンが不足すると、鬱になってしまいます。さらに食欲にも影響を及ぼしてしまいます。

ドーパミンは、良い気持ちにさせてくれる神経伝達物質です。例えば、美味しいものを食べた時、すごく幸せな気分になりますよね。また何かを達成したり、よい成績をあげて褒められた時にも嬉しくなって、もっと頑張ってもっと褒めてもらいたいと思いますね。そんな時に出ているのがドーパミンです。しかし分泌量のバランスが崩れてしまうと様々な悪影響が出ます。「脳内麻薬」などと呼ばれることもあるドーパミンは、多すぎると「もっと良い気分になりたい」と様々な依存症を起こす原因になります。アルコール依存症やギャンブル依存症などです。逆に少なすぎると、気力が薄れ意欲がなくなってしまい、仕事や学習能力も低下してしまいます。

ノルエピネフリンは、神経伝達物質とホルモンの両方の作用をするとドクターは言います。ホルモンとしての役割は、アドレナリンと同様に興奮作用があり、心拍数や血圧を上げ交感神経を活発にします。日々のストレスコントローラーでもあります。神経伝達物質としての働きは、脅威に備える事です。不安感が強くなり精神的に不安定になったり、悲観的になって落ち込んだりすることもあります。

また、長期間に渡ってノルエピネフリンが低い状態が続くと、甲状腺機能の低下を招いたり、認知や行動の問題が起きる可能性もあります。

最後にアセチルコリンです。アセチルコリンは副交感神経系を刺激し、体が休息する重要な役目を果たしています。血圧や心拍数の低下、消化や腸の動きを促したり、排泄排尿など毎日のオペレーションを助けています。

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人が普通に健康に生きるためには、ホルモンも神経伝達物質も完全にバランスが取れている必要があります。お互いに反対の作用をする物質がありますが、それらがアンバランスになってしまうと、身体も精神もひっくり返ってしまいます。つまり人生が完全にひっくり返ってしまうということなのです。

副腎疲労が単に副腎だけの問題ではないのは、このように全身をコントロールしているホルモンや神経伝達物質のバランスを完全に崩してしまうからです。