ノーホルモン ノーライフ

人間の体のシステムの中で、ホルモンのバランスがきちんと取れていることは、肉体的にも精神的にも絶対に不可欠なことです。

ホルモンバランスは非常にデリケートなシステムで、なんらかの理由でバランスが変わってしまうと、それぞれのホルモンの機能と体に深刻な影響を与えてしまうのだと、ドクターは言います。

副腎疲労症候群になると、ホルモンのバランスがめちゃめちゃに崩れてしまいます。”副腎疲労と言えばコルチゾール”と言われるので、コルチゾールだけに注目してしまいがちですが、そうではないのです。人の体にとって必要な多くのホルモンがことごとくバランスを崩してしまいます。だから頭から足まで体中ほぼ全部が不調に陥ってしまうのです。

副腎疲労の治療は全身的なアプローチが必要になる理由は、ありとあらゆるホルモンが全身に影響を与えているからです。

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ドクターは、「ホルモンは体の化学的メッセンジャー」だと言います。ホルモンは、様々な器官や腺から放出され、身体の主要な機能のほとんどをコントロールしています。

ちゃんとバランスが取れていれば、体はきちんと機能し、その役割を果たしてくれます。 しかし、ほんの小さな不均衡が起きただけで、正常に機能しなくなり、体の様々な場所に直接的、間接的に悪影響を及ぼし、壊滅的な打撃を与えてしまうのです。

僕自身、ホルモンバランスは改善されてきていますが、完全なバランスに戻るまでの道はまだ遠いと思っています。

このブログでも何度も話していますが、とにかくホルモンがめちゃめちゃに崩れてしまった体はまったく言う事を聞かず、自分ではどうすることもできないような気持ち悪さがつきまといます。

体の中で常に何かが暴れている感じです。嵐の中で強風に煽られながら、小さなボートの先端に立って、海を覗き込んでいるような気分になることが何度もあります。

または、僕が立っているウォーターベッドに誰かがジャンプして、足元が波打って、そのさざ波が絶えず体の中を通過するような感じ。

シナプスが機能していないため、あらゆる動きが奇妙に感じられます。とにかくやる事なす事、何ひとつ正常に感じられることがありません。

副腎疲労があると、副腎はもちろん、生殖器系、甲状腺に影響を及ぼします。これらはすべて体内のホルモンを制御する所です。副腎疲労の人は、生殖機能が減退し、甲状腺にも異常が出る場合が多いのです。

副腎疲労が、体中に非常に多くの症状が同時に現れる理由です。慢性疲労、不眠症、関節痛、ブレインフォグ、糖尿病、皮膚の問題、代謝の低下、寒さに弱い、運動不耐性、不規則な月経周期、PMS、気分のむら、理由のない体重増加など、ありとあらゆる症状に悩まされることになるのです。

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副腎は、コルチゾールをはじめ50種類以上のホルモンを分泌します。どのホルモンも体がちゃんと機能するために不可欠なものばかりです。

副腎が疲れ始め、どんどん時間が経つと、その影響は多くのホルモンに及び、様々な不調が体のあちこちに起こります。

患者にとっては、それぞれの不調がまったく関連性がないように思えるので、頭がボーっとしたりめまいのような症状がでたら脳神経外科へ、腰や関節が痛く腕が上がらないような状態になると整形外科へ、息が苦しくなると呼吸器科、心臓がドキドキすると心臓外科、皮膚がパサパサになったり痒くなると皮膚科へ、と言う感じで病院をはしごすることになり、いつまでたってもそもそもの原因が副腎だとは医師も自分もまったくわからないのです。

こうしたホルモンの不均衡によって起こる不調の多くは医学的な病状と認められません。検査を受けても数値は正常の範囲内におさまっていることが多いので「異常なし」と結論づけられてしまいます。

さらには、検査で甲状腺ホルモンに少し問題があると見れば甲状腺ホルモンだけを何とかしようとし、生殖ホルモン(女性ホルモンや男性ホルモン)に少し問題があると見ればそのホルモンだけを何とかしようとします。それが大きな問題なのです。

根本の原因がわからないまま、男性ホルモン値が少し低いと判断して「テストステロンのホルモン剤」を処方しようとするのです。これは副腎疲労をますます悪化させてしまうのです。

これがまさに僕にも起こったことです。日本の病院ではまったく原因がわからず、ハワイのクリニックで診てもらった時の話です。ハワイの医師は、一通り検査をして、甲状腺ホルモンとテストステロンが、若干低いという理由で、甲状腺を強化するための甲状腺サプリメントと、低テストステロンレベルを高めるためのテストステロンサプリメントを出してくれました。 間違った時期に、間違ったサプリメントを飲むように言われたのです。これらのホルモン剤が、疲れ果ててほとんど機能していない副腎にますます負担を掛けてしまい、回復を遅らせる結果になったと、今では確信しています。

ドクターによると、甲状腺は副腎が悪化するにつれて影響を受ける腺の一つです。 甲状腺は体温と代謝を調節し、これが不均衡になると疲労と体重増加を引き起こします。

そして、副腎と甲状腺の働きが落ち始めると、生殖器官と他の関連ホルモンが影響を受けます。副腎疲労になってしまうと、テストステロン、エストロゲンはどちらもガタッと落ちます。なぜなら、身体には生殖プロセスを維持するエネルギーがもうなく、ただただ生きることだけに集中しているからです。子孫を残すことなど到底無理、自分が生き残るためだけに体が仕事をしている状態です。

ここまでくると、体内の他のシステムや全身の健康に大きな問題を引き起こす可能性があります。

一つ一つの症状だけを見ていては絶対に見つけられないのですが、すべて繋がっているという見方をすれば、体の不調のしくみが分かってくるのです。

次から次へと連なる滝のように、体に次々と不調が現れるのです。コルチゾールが枯渇するという一つのホルモンの問題ではありません。様々な多くのホルモンが影響を受け、システム全体がダメージを受けます。特定のホルモンは、能力を最大限に発揮するには、他のホルモンを必要とします。 そして、すべてのホルモンがきちんとバランスよく揃わなければ、お互いに調和して働くことができないのだと言うのです。

ホルモンがいかに重要なものか、改めて考えされられます。一つでもホルモンが乱れてしまえば、他のホルモンも乱れてしまい、ちゃんと機能しなくなってしまうのです。ホルモンが無ければ生きてゆけないのだ!

No Hormon, No life!