今さらですが、副腎疲労症候群の原因は何なのでしょう?
強いストレスが長期間続き、副腎がストレス対抗ホルモンであるコルチゾールを分泌し、それが限度を超えてこれ以上コルチゾールも産生できなくなり、他のホルモンもバランスを崩し、それが様々な器官やシステムに影響を及ぼし、機能低下してしまい、日常生活もままならない不調に見舞われる・・・というのが模範解答的な理解ですよね。
きょう、少し掘り下げてみたいのは、そのストレスがどのようなものか、という事です。
ストレスと言えば、まず精神的なものが最初に頭に浮かぶのではないでしょうか?人間関係とか、仕事のプレッシャーとか、環境に適応できないとかが考えられます。
でも実は、ストレスは身体面、体の中の問題も沢山あります。
例えば、MTHFRの遺伝子異常、腎臓の問題、HPA機能不全、ピロリ菌感染、副腎皮質機能低下、胃酸の不足などなど、ストレスとイメージできない印象ですが、実はすべて体に対するストレスで、そうしたストレス要因はいろいろ考えられますが、これだという決定的な答えを出せるわけではない、とドクターも言います。
このような要因の中で僕の興味を引いたのは、胃酸の問題です。
食べ物を消化・分解するのも、胃に侵入した病原菌を殺すのも、胃壁細胞から作られる塩酸(HCI)です。塩酸が十分に作られないと、食べた物が適切に消化されず、胃腸管に多くの問題が生じ、体内に侵入したウイルスや細菌も死なずに体内に留まってしまいます。
胃酸が少ないということが色々な問題を引き起こすことは容易に想像できますね。
実際、アレルギー、ニキビ、甲状腺の問題、SIBO、湿疹、喘息、その他自己免疫疾患など、胃酸の減少が関係している疾患はいくつかあります。
では、胃酸が少なくなると、体内でどのようなことが起こるのかを見てみましょう。
まず、炎症が起こります。
そして胃酸が少ないと、未消化の食物がそのまま胃を通過し、消化管に入っていきます。
また、胃に入った細菌やウイルスも、塩酸がそれらを殺すほど強くないので、生き残って体内に存在してしまいます。実は他の消化管には、胃酸のような自衛のための酸がそもそもないのです。
細菌やウイルスが腸内に蓄積すると、腸内細菌叢のバランスが崩れ、「ディスバイオーシス」と呼ばれる状態になります。「悪玉菌」が増殖して「善玉菌」を圧倒し始めるのです。また、未消化の食べかすが発酵して悪玉菌のエサとなり、ディスバイオーシスを悪化させてしまいます。
腸内環境の悪化は、リーキーガットを引き起こす可能性があります。腸の内壁に隙間が生じると、本来そこにあるべきでない粒子が漏れ出して、血流に入り込むようになります。これが免疫反応の引き金となります。
免疫システムが攻撃を開始すると、その結果、さらに炎症が起こります。
炎症は病原体を排除するために必要な反応ですが、リーキーガットが続くことで慢性化すると、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
このように、胃酸が少ないと、消化不良、慢性的な腸の炎症、微生物の過剰繁殖、リーキーガット、ストレスホルモンの上昇(コルチゾールの放出)、肝臓の不調(消化不良によって残された大量の老廃物の処理で肝臓に負担がかかる)、疲労(時には深刻)、栄養吸収率の低下、不眠症という悪循環に陥ることになるのです。
そうなんです。不眠症はなんと胃酸不足が原因だったのです。副腎疲労の人は皆、不眠症に悩まされています。
すべて繋がってきませんか?
そこで、ドクターに胃酸分泌を促すために何か摂るべきものはあるか質問したところ、消化酵素を補うのが良いという答えでした。HCL(胃酸の成分)は勧められませんでした。
もう一つは、アップルサイダービネガーです。リンゴ酢ですが、日本のスーパーマーケットでよく見かけるリンゴ酢とは違って、自然発酵だけで酢になったものです。アルコールや酢酸を加えずに発酵させます。瓶に入った液体のリンゴ酢もありますが、カプセルのサプリメントもあります。
最近、リンゴ酢サプリメントを試してみたのですが、僕の体はあまり反応しませんでした。不自然なエネルギーが湧いてくるので、数日でやめてしまいました。
それからつい先日、消化酵素と一緒にHCLを飲み始めました。これは本当に効果が感じられます。もう少し続けてみればもっとよくわかると思いますが、今のところ良好です。
また、サプリメントを試す前に、胃酸のレベルを自然に上げるためにできることがいくつかあります。
- 食べ物をよく噛んで食べる
- 生姜を食べる
- 加工食品を避ける
- 発酵食品を食べる
- プロバイオティクスを摂取する
副腎疲労の治療は、本当にありとあらゆる角度からのアプローチです。
「副腎が弱っているので副腎成分やコルチゾールそのものを補充すれば良い」「副腎が消費するビタミンCを沢山摂れば良い」ということではないことだけは確かです。