このまま死んでしまうのか…という恐怖

大げさに言っているわけではありません。

本当に「もう死んでしまう」「明日の朝は来ない」と思ったことが何度かありました。

 

2023年暮れ、この複雑怪奇な病からようやく抜け出せそうな感じ、自分の体が普通に戻ってきている実感が持てるようになった今、一番つらかった状況を思い出すことがだんだんできなくなってきています。

でも、二度と同じことは経験したくありません。自分の体が発していたサインを見逃し、無視して、無理を続けた結果、このような事態に及んでしまったことを忘れない為、きょうはあの死の恐怖に怯えた話をしたいと思います。

 

2011年の歯列矯正終了後から明らかにおかしくなりはじめ、次から次へと体の不調に襲われ、普通に出来ていたことができなくなっていったあの最悪の日々・・・。2015年に毎日通っていたジムで力尽きて倒れ込んでしまい、2016年にハワイではじめて「副腎疲労症候群」という診断を受け、そこから実に8年に及ぶ治療。

その間、本当にこのまま死んでしまうのではないか、という恐怖に陥ったことが何度かありました。

 

副腎疲労などというやんわりした名前の病気から、これほど破滅的な「差し迫った命の危機」的な状況にまで陥ってしまうとは、誰が想像できるでしょうか?

副腎疲労は、それほど恐ろしい病なのです。

ドクターが説明してくれました。確かに副腎疲労症候群の重度の状態になると、「死んでしまうのではないか」と思うようなことが起こります。でもその「死んでしまう」感じは、あくまでも「死んでしまいそうな感覚」なのです。本当に死んでしまうような体の状態になっているわけではなく、そのような感覚に陥るということなのです。

dying

「何かがおかしい」

「大変な事が自分の体に起きている」

「ただ事ではない」

ちょっと前まではまったく普通で、正常だったのに、突然何か破滅的な悪いことが自分の体に起きたような感じになります。いきなり、命にかかわる、悲劇的で恐ろしい何かが起こりそうになっている、そんな気持ちになるのです。

ドクターによると、実際にはそんなことは起きていないのに、心臓がこのまま止まる、息ができなくなって苦しんで死んでしまう、というような、とても恐ろしい最悪なことが自分に差し迫っているような感覚になるのです。

このような切迫した危機的状況に、僕自身も何度か見舞われました。

 

最初になったのは、実家に帰っている時でした。夜中に胸が重苦しくなって目を覚ましたのですが、どんどん息ができないような苦しさに見舞われました。これが心臓発作なのか・・・このまま苦しんで死んでしまうのか・・・と恐ろしくなり、そのままパニック発作になり、ベッドの上でもがき苦しみ、汗だくになりながら、このまま母の家で死ぬのは嫌だ、とか、救急車を呼んで親を心配させたくない、とかいろいろ考えながら、頭の中を色々なシナリオが駆け巡りました。ハアハアと苦しみながら2〜3時間もがいていたら、次第に胸が楽になってきて、ようやく落ち着き、また眠りに落ちました。恐ろしい経験でした。自分が死ぬかもしれない、などという恐怖はこの時はじめて味わいました。

でも残念ながら、この恐ろしい感覚は、その後定期的に起こるようになったのです。

日本に戻り、ドリーにこのことを話して、心臓循環器の病院に行きました。検査の結果、何も悪い所はなく、それを聞いて本当にホッとしました。

しかし、その後も胸が苦しく息ができないような感じが取れず、肺や呼吸器の検査を受けました。

頭がグルグルして目眩のようにフラフラする感じや、まっすぐ歩けないようになり、脳や耳の検査も受けました。

検査を受けても何も異常がなく、それなのに次から次へと体がおかしくなり、一体どうなってしまったのかと恐怖に襲われました。

 このまま自分の体が次々におかしくなって蝕まれ、そして息絶えるのではないかと、本気で思った事が何度もありました。

ドクターの説明では、この差し迫った命の危機的感覚は交感神経系と強く結びついています。

交感神経は呼吸や心拍数など、普段人間が意識していない体の働きを調整する役目がありますが、このシステムを妨害するようなことが起こると、強い不快感を引き起こす可能性があるのです。

交感神経系が活性化しすぎると、恐怖感、不安感、破滅感につながり、それが「もう死ぬのではないか」という感覚を引き起こすのです。

さらには、この恐ろしい感覚の潜在的な原因はストレスそのものなのだと言います。ストレスは現代社会ではあまりにも一般的で、誰もが感じていることですが、実は信じられないほど破壊的なのです。

非常に一般的なストレスが、実は様々な病気や不調、精神的な問題、感情的の不安定など、多くの問題を引き起こすとドクターは言います。ストレスが引き起こす体への影響を過小評価してはいけません。

「もう死ぬかもしれない」というほどの差し迫った感覚に苦しんでいるのに、病院の検査で何も異常が現れない場合は、ストレスが原因である可能性が大いにあります。

そもそも交感神経は、一時的に活性化されるべきもの(戦うか逃げるかのような状況)で、慢性的なストレスでいつもいつも活性化されるような状態であってはならないのです。

でも、現代社会が人に与える様々なストレスで、多くの人は常に交感神経がビンビンに張りつめているような状態になっていて、それが原因で命の危機的状況を感じるほどの恐ろしい感覚に陥ってしまうことがあるのです。

たまに経験する”程良い緊張感”のような良いストレスは悪さをせず、健康的なストレスなのですが、四六時中悩まされるような慢性ストレスは、人の健康を破壊するほど危険なものだとドクターは言います。

人によって何をストレスに感じるかは異なります。だからストレス源は自分で見つけ出さなければなりません。

  • 家族、夫婦、恋人関係などの悩みやプレッシャー
  • 仕事や業績に対するプレッシャー
  • 汚染などの有毒な環境要素
  • 質の悪い食事や栄養不良
  • 運動不足
  • 不十分な休息
  • 一日中座っている、逆に立っているなどの仕事の極端な習慣
  • 財政的な問題

stress

このように色々なストレスの元があります。自分にとって、何をストレスに感じるか、じっくりと分析してみる必要があります。

私たちの体にはストレスに対処できるシステムがあります。副腎は50以上のホルモンを分泌し、ストレスをうまく処理しようとします。

しかし、このシステムが疲労したり故障したりしてしまうと、もうストレスとは戦えなくなり、日々の仕事や日常的な作業が難しくなり、精神面の安定もより難しくなり、感情も制御不能になる可能性があるのです。

長引くストレスは、低血圧、不眠症、疲労、不安、パニック発作、うつ状態、動悸など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。

これらの症状が単独で起きても人は恐怖感を感じますが、いくつかの症状が組み合わされて継続して起きると、「もう死んでしまう」という非常に恐ろしい、破滅的で絶望的な状況をもたらします。これは本当です。

医学的検査で異常がないのに「死にそう」な感じになる・・・そんな状況になるのは、強いストレスの中に長くいることが根本原因だと言えます。そのままにしておいてはダメです。しっかり原因を見つけ出し、ストレスを排除しなければ、体はシャットダウンしてしまいます。

決して見逃さないで下さい。体は必ずサインを出して訴えます。