クラッシュのメカニズム

副腎がクラッシュする、という言い方をよくしますが、厳密にはどういう状態でどのようにしてなるのか、ちゃんと突き詰めていませんでした。

ガクッと疲れてしまって、しばらく改善しないほどエネルギーを失い、ベッドで横になってしまう状態、くらいに思っていたのですが、ドクターの解説では、そんな表面的なものではなく、はるかにいろいろなことがその裏で起きているというのです。

sleeping

副腎は、ホルモンの調節器官です。 主なホルモンはコルチゾール、アドレナリン、エストロゲン、アンドロゲンなどですが、体内の恒常性を保つために実に50種類以上の異なるホルモンを厳密にかつ非常に正確に分泌するのが副腎の役割です。

副腎ホルモンは、甲状腺ホルモンからセロトニン、インスリンまで、体内の他のホルモンに影響を与えます。

もし副腎機能が弱り切ってしまい、これらのホルモンの調節ができなくなると、体には様々な異常事態が起きます。

体内でなにが起きているのかというと、生き残るために最優先するべき機能のみを残して、あとの機能を低下させるのです。

エネルギーを節約するためです。この状態がクラッシュです。

基本的に、副腎のクラッシュは、人が生き延びるためにとる、体を休ませたり、必要ならば寝たきりにさせたりして、生きるためだけに必要な極めて単純な機能だけを残すような状態にする、一つの生き残り戦術なのです。

switch off

「副腎が緊急事態にうまく対応できれば、副腎クラッシュはだんだんおさまり、体は安定し始め、徐々に回復していきます。休ませていた体の機能も仕事をし始めます。これが、副腎のクラッシュと回復のサイクルで、回復サイクル中に体の不調が徐々に消えていきます。」

「逆に、副腎が緊急事態にうまく対応できなかった場合には、体はますます機能を低下させ続けます。外部からクラッシュを止めるためのなんらかの助けがあるまで、いつまでも続きます。もし、何の助けも得ることができなければ、体はゆっくりと悪化し、最終的には副腎不全を起こすところまで行ってしまいます。」

僕は、体が発している警告や様々な兆候を無視し、自分の体を追い込み続けていました。

どう考えても、疲れ果てていて、体のあちこちに異常な症状が出ているにも関わらず、仕事を止めることができませんでした。

自分で、自分の体に回復する暇を与えなかったのです。

朝、起きてコーヒーや、緑茶、ユンケルを流し込んで、なんとかその日の仕事をやりきっていました。

疲れは、そのうち回復するだろうと思っていました。いままではそうだったから。

まったく助けることをせず、つまり体を休めたり、サプリメントを取ったり、医師に診てもらったりせず、あまりにも長い間、無理をさせてしまいました。

その結果、僕は副腎疲労ステージ3になるまで放っておいてしまったのです。

副腎不全は医学的な緊急事態です。

ここまで悪化して始めて、病院で「病気」だと診断されるのですが、副腎不全まで悪化する前の段階で、ステージ1から4までの段階を経ていきます。

ステージ3は機能不全の一歩手前です。こんなことにならないで下さい。

手遅れになる前に、もっと自分の体の声を聞いてください。

僕は、自分の体に何かが起きていることはわかっていました。普通じゃないこともわかっていました。

でも、病院で受けたあらゆる検査で、何も異常が見つからないのです。

どの医者も助けになりませんでした。

彼らの口から出た言葉は、"ストレスでしょ。リラックスしてくださいね"だけでした。

そんなことじゃない、もっと何か深刻な事態が起きている、と自分では思っていたのに、それ以上何もわからなかったのです。

それで2年もの間、いろんな病院、いろんな診療科を渡り歩いて、検査をしては特に問題なし、ということを繰り返していました。

あの頃の僕は、副腎疲労など、見たことも聞いた事もなかったのです。

その間、副腎は何度もクラッシュを続けていたのです。

何の助けもなく、回復するすべがなく、クラッシュを続けていたのでした。