副腎疲労 まるでジェットコースター

アップダウンの激しいレールを、右に左に激しく揺さぶられながら、ギャーッと叫んだり、ヒューっと気持ちよくなったりの繰り返し。これこそ、副腎疲労治療中の人がたどる道です。

そのプロセスは、まったくもって簡単な道ではありません。回復に向けて一途に進むことはまったくありません。ジェットコースターそのものです。

roller coaster

例えばインフルエンザにかかってしまったとか、骨折してしまったような場合を考えてみると、今が最悪の状況で、ここから先は日々良くなっていくんだということがわかります。

しかし副腎疲労は違います。今、自分が一体どこにいて、どっちに向いているのか、出口に向かっているのか、迷路に入りこんでしまったのか、なんにもわからないのです。

インフルエンザなら1週間から10日、骨折なら3カ月とか、お医者さんが回復までにどのくらいかかるか言ってくれますよね。副腎疲労はなにもわかりません。

1週間や10日では改善の兆しすら見えません。重症になってしまった段階では、運が良ければ一カ月ごとにちょっと良くなっているかな、と感じることができますが、僕の場合は、3ヶ月ほどかけて一歩前進したかな、という感じです。

3ヶ月ごとに、ほんのちょっとだけ気分が良くなるって、一体どんなペースなんだか!! 本当に微々たる小さな小さな一歩だけです。冗談じゃないよ!と思います。

one step

僕は、病気になったりケガしたりしても、回復がとても速い方でしたし、病気の自覚があまりなく、38度の熱が出ていても、それに気づかずいつも通り仕事に行ってしまうような男でした。

免疫力も強い方で、風邪やインフルエンザやほかの感染症にもかかったこともなければ、ワクチンをうったこともありません。だから、この副腎疲労というものが、もう本当にうんざりなんです。

なんでこんなにも長い間、これほどしんどい状態が続くのか。あまりにも長い間、疲れ切って力も出ず、フラフラの状態が続くと、元気な状態ってどんな感じだったか、もう思い出せなくなってしまいます。

 

副腎疲労というやつは、人の気持ちももて遊びます。ある日「わー調子が良い、良くなっている!」と思ったら、翌日、骨が砕けそうなほど力が入らず、120歳のおじいさんになってしまったような気持ちになる。

はあ?24時間で一体何が変わったの?何か変なものを食べたんでしょうか?何か間違ったことをしましたか?あるいは、何かするべきことをしなかったんでしょうか?

昨日やったこととやらなかったこと、そして今日やったこととやらなかったことを一つ一つ思い出してみても、何一つ違うことはしていない。昨日も今日も同じ事しかしていないんですよ。

これが副腎疲労です。

二歩進んで一歩戻り、一歩進んで、二歩戻る。

slow turtle

ドクターに「なぜ?」と聞くことにももううんざりしてしまうし、ドクターも同じ質問ばかりされてうんざりしているはずだけど、聞きました。

答えはいつも同じで「これが回復のプロセスで、体がリセットしているんです」「この小さな落ち込みこそ、回復プロセスの一つ」だと何度も言いました。それを受け入れて、先へ進んでいかなければならないのだと。

今これを読みながら、同じ経験をしている人がたくさんいるのではないでしょうか?どうして、日々体調がコロコロ変わるのか?その答えは…ないのです。回復のプロセスのほんの一部だとしか言えないのです。

そうは言っても、こういう事が繰り返し起きると、もて遊ばれているようで、前向きに行こうとしている気持ちが踏みにじられますよね。でも僕は言いたいです。そこを何とか耐えてと。

 

元気を取り戻す”魔法の薬”があればいいのに、と思いますが、そうはいかないのです。僕は自分で自分の体に無理をさせてしまい、何年も何年もスピードを緩めず、鞭を打ち続けてしまったために、こんな状態になってしまったのだから、回復にも時間がかかることを受け入れなければなりません。

治療を始めて2年半たって、ようやく体調が改善してきたことを実感していますし、回復のスピードも速くなって来ていると思います。

でも今でもやっぱり、不調はあちこちにあります。まだ時間が必要なのでしょう。どこにもおかしな症状がなくなって、完全に回復することを願っていますが、それは体だけが知っている事、体だけが決めることなのです。