副腎疲労の一コマ 音に怒り

最近、よく昔を振り返ります。

副腎疲労から長い長い我慢を経て、ようやく回復に向かっていることが実感できるようになってから、つくづく思うことがあります。

あの時、なぜ自分で気づくことができなかったのだろう、なぜ仕事をセーブしようとしなかったんだろう。

明らかに、体も精神も頭も普通じゃなくなっていたのに、それでもアクセルを踏み続けて、文字通りクラッシュするまで走り続けてしまいました。

今なら、明らかにわかるのですが、その当時はまったくわかりませんでした。

いろいろと起こる変調、不調は『年をとったせいだな・・・』と、本当に思っていたのです。

一つ思い出したエピソードがあります。「音」に関することです。

それまでの自分なら、気にも留めないし、どちらかと言えば寛容なほうなので、騒ぐ声や騒音にも腹を立てるような事はなかったのですが、ある時から「音」に異常に敏感になっていました。「音」に対して、あきらかにストレスを感じるようになっていました。

普通に生活していれば、一日中、いろんな音が耳に飛び込んできます。外にいても家の中でも、どこからでも、色々な音が発せられます。

・エンジンを吹かす車やバイク

・バスやトラックの大型車のエンジンやブレーキの音

・駅のアナウンスや電車が出る時の音楽

・電車内でイヤホンから漏れるシャカシャカ音

・幼稚園や小学校で子供がキャッキャッと遊ぶ声

・大声で泣きわめいたり叫んだりする子供

・バーで大騒ぎする酔っぱらい

・スーパーやディスカウントショップなどで繰り返し流れるテーマソング

・宣伝カーや街宣車からマイクで演説する声

・道路工事の音

とにかく無限にあります。

noise

副腎疲労と診断される数年前、ある「音」で僕は大激怒してしまった事があります。

ある週末、ドリーと夕食を食べに、ステーキレストランに出かけました。お店の人が案内してくれたテーブルは、家族が座っているテーブルの向かい側でした。両親と子供が3人いました。

週末で、いつもよりお客さんは多めでしたが、他に空いているテーブルはいくつもあったのに、お店にはテーブルを決める何らかの決まりがあるのでしょうか…。

とにかくその家族の向かいのテーブルに座り、ドリーはなんとなく察したのか、「席を変えてもらう?」と聞いてくれたましたが、僕は「いや、大丈夫」と答えました。

僕が「大丈夫」と言った直後、その子供たちはフォークやスプーンを握って、テーブルにコツコツとぶつけて音を立て始めました。一人がやると、他の子供も一緒になってやるのが常です。3人の子供たちは、何か言いながら、ゲラゲラと笑って、コツコツと音を立て続けていました。

驚いた事に、親は子供を止めようとしません。大人同士で話に夢中になっています。子供たちはますます悪のりします。「静かにしなさ~い」などと一応言うのですが、子供たちの耳には入っていません。どんどん騒々しくなっているので、大人達もだんだん大きな声で話し始めたのです。

そのうち、そのテーブルの母親は、子供を挟んでその隣のテーブルに座っている同世代の女性に、子供の背中越しに話しかけ、そのまま話し続けていました。ママ友だったに違いありません。

その友達のテーブルにもまた子供が2人いて、子供たちは2つのテーブルを行ったり来たり、もう運動会状態です。

子供たちはコントロール不能、親たちはビールを飲みながら、子供そっちのけでおしゃべり。

僕たちの向かいの席ですよ。ちょっとイメージしてみて下さい。完全にカオスです。僕は両方のテーブルの父親のところへ行って、思いっきりパンチをかましたい気持ちでした。もうあと一歩のところまで来ていました。でも、しませんでした。なんとかその怒りを飲み込んで、耐え忍びました。が、こんなに怒った事はない位の怒りでした。

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ウエイトレスの女性に、「向かいのテーブルがあまりにもうるさく、行儀も悪い」と言いました。彼女も状況はわかっていて、困ったような顔をして謝ってはいるのですが、そのテーブルの人に注意するのは避けたいのか、どうしたらよいかわからず、ただ申し訳ありません、と言うばかりでした。

たぶんアルバイトの20代前半の若い女性で、こう言う時の対処法を学んでいないのでしょう。彼女に落ち度があるわけではありませんが、マニュアル通りのことをするだけで、想定外のことには対応できないのだということがすぐ分かりました。

お会計の時に、店長さんに同じ事を伝えました。さらに、お客さんをテーブルに案内する時に、どう見ても静かに食事をしたい大人の夫婦を、騒ぐことが容易に想像できそうな子供連れのグループの前になぜ座らせるのか、と聞きました。

厳しく問い詰めたわけではありません。あくまでも冷静に質問しました。もちろん、店長さんの口からその答えは出てきませんでした。ただただ、「今後気をつけます、申し訳ございませんでした」とお詫びを繰り返し、割引クーポンをくれました。

 

この時だけではありませんでした。レストランなどでその後もたびたび(これほどひどい怒りではありませんでしたが)イライラしたり、腹を立てるようになったのです。

よく、ありますよね。どこかのテーブルで、誕生日のお客さんがいると、店員さんがそのテーブルを囲んでハッピーバースデーを歌います。そんなことにもイライラする。

アイスクリーム店で一番大きなサイズを注文したら、店員さんが歌を歌うというので、僕はもうすかさず「歌いりません!」と言ってしまった事もありました。

こんな風に、どんどん我慢ができなくなっていったのです。それまでの自分なら、ハッピーバースデーもアイスクリーム店の歌も、別に目くじら立てるような事ではなく、普通に受け流していたのです。

あの当時の僕は、音や声が異常に気になるようになり、不快で、すぐイライラしてしまうような状態が続きました。

怒りっぽくなる、イライラする、これは副腎疲労の兆候なのです。

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僕は今でも、公の場で騒いだり悪ふざけをする子供と、その子供たちに何もせず、そのままにしておく親がどうしても許せません。

そんな場面に出くわしたら、今はとにかくその場から立ち去ります。気持ちが鎮まるまで、とにかく歩き続けます。

ドクターにも何度も言われました。ストレスを抑え込んで、自分の中にため込んでいくのはダメだと。だから、このような場合は、口に出して言うか、それをしないのであれば、自分をその状況の中に置かずに抜け出すことが大事です。レストランでも、なんどかテーブルを変えてもらいました。

このエピソード後も、ドリーと僕は同じステーキレストランに何度も行きましたが、週末に行くことはやめました。 平日、それも午後5時頃、ディナータイムが始まってすぐの時間なので、ほとんどお客さんはいません。静かです。

しかし、子供連れや数人のグループが来ると、スタッフの人はカップル席から離れた場所のテーブルに案内していることに気付きました。以前、僕が言ったことが何らかの影響を与えたのでしょうか? それとも、僕たち以外にも苦情を言った人がいたのでしょうか?

我が家のポリシーは、週末は出かけないこと。ストレスになることがわかっているのなら、はじめからそれを避けること!