要注意!糖質制限ダイエットで天国から地獄へ

最初に結論を言っておきます。毎日のように、仕事や人間関係などで強いストレスを受けている人、副腎機能が弱まっている人は、糖質制限ダイエットはしない方がいいです。いや、しないで下さい。

僕が糖質制限ダイエットを始めたのは、今からもう5~6年前のことだったと思います。

糖尿病の食事療法として効果的な糖質制限が、お腹が出てきた中年のダイエット法として、また健康面でもとても良い、という話をドリーから聞きました。僕は太っていたわけではなかったのですが、体が重くなって来た、脂肪がつきやすくなってきたかな、という感じがしていました。

ドリーがこのダイエット法の仕組みを説明してくれました。

人の体内に糖質があると、体は糖質をまず使うので、脂肪を使い切らずに蓄積していき、それが太る原因になること。

糖質を取ると血糖値が上がるので、それを下げようとインスリンが大量に分泌され、糖尿病のリスクが高くなること。

白砂糖やその他の精製された炭水化物が体に与える悪影響のこと。

話を聞けば聞くほど、僕は納得し、そもそも僕は肉食だから、肉を食べ続けられ、しかもお酒も飲めて、ダイエット効果が早く出るこの食事法に反対する理由が全く見つからなかった。日本人じゃないから、米食いたいーという欲求はそもそもなかったですし。

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ドリーは、糖質制限ダイエットについて、僕の3つの選択肢を示しました。

1.かなり厳しく3食とも主食無し、野菜や果物の糖質も厳密にチェックして制限するスーパーコース

2.3食のうち昼は主食を入れるスタンダードコース

3.夕食時だけ主食を抜くプチコース

この3つのうちどれが良いかを相談して、僕はもちろん厳しく制限するスーパーダイエットを選びました。ドリーはプチでやることになりました。

スーパー糖質制限を始めて、1週間くらいですでに結果が現れ始めました。「顔と首の余計な肉がそがれて、すっきりしてきたね」とドリーに言われ、すかさず「そうでしょ!」と言い、あまりに早く効果が見えたことに僕は大満足で、このダイエット、最高!と思っていました。

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アメリカではケトン体ダイエットと呼ばれることが多いと思います。アメリカでもこのダイエットはとても人気があり、肥満で糖尿病の多いアメリカでも効果絶大だと聞いていました。

僕は継続してスーパー糖質制限を続け、お腹周りがすっきりし、格好悪い脂肪も無くなり、ベルトの穴が2つ、3つとしまっていくのに完全に浮かれていました。服のサイズもMサイズに!高校生以来です。20代前半の頃の体形になっていました。

クローゼットを総入れ替えとばかりに、Mサイズの体にフィットする新しい服をどんどん買い、古い米袋みたいなシャツやタックが入ったパンツをどんどんごみ袋に詰めました。

仕事に着るスーツも、日本に来たばかりの頃に買ったスーツがもう一度着られるようになり、有頂天の僕はますますこのダイエットにはまっていきました。

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ソースやドレッシングに入っている糖質の量まで気にしていた僕に、時々、ドリーは、「そこまでガチガチにやらなくてもいいんじゃない、かなりやせたし、その体形をキープしていけばいいじゃない」と言われましたが、僕の返事は「糖質を取らなくても人体に問題はないでしょ」と言って頑ななまでに糖質拒否をしていました。

ドリーは、脳にはブドウ糖が必要だけど、炭水化物がなければ人間の体は自分で糖を作りだす『糖新生』が起きるから大丈夫だと説明してくれ、僕は安心してこのダイエットを続けました。

当時、1つだけ気づいた事は、ジムにほぼ毎日通ってウイエトリフティングをしていましたが、少し力が弱くなってきて、ウイエトを上げるのがちょっときついなと感じる日が多くなってきていました。が、まあ年のせいかな…などとあまり気にしていませんでした。

そしてこのダイエットを1年、2年と頑固に続けていたのですが、ある時から、またお腹周りがちょっと丸くなってきたように思いました。筋力が弱くなっていたことに加え、お腹がまた出てきたとは??糖質は限界まで制限していたのにです。毎日ドリーと一緒に、腸のために飲んでいた某乳酸菌飲料までストップしました。それなのになんで??

決してすごくお腹が出てきたわけではないのですが、自分なら気づく程度にです。納得いきませんでした。毎食に含まれている糖質の量をきちんと調べて、こんなにきっちり制限しているのに!

僕は意固地なほどに、ありとあらゆる糖質に対し、異常なまでに神経質になっていました。そして、旅行先のシンガポールで、なかなか自分の食べられるものが見つからず、ものすごい低血糖になり、パニック障害になってしまったのでした。

このブログを書いていて、「今思えば…」という事があまりにも多くてお恥ずかしいです。今思えば、あのシンガポール・パニックの一件も、僕の体が発していた警告だったのです。こんな極端なダイエットはよくない、と訴えていたのです。でも僕は、自分のスリムな体形を維持することに執着してしまっていました。その引き換えに、僕の体の中の重要な機能にダメージを与え続けていたのです。糖質制限ダイエットで天に昇る喜びを味わい、そして地獄へと突き落とされたのでした。

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糖質が無いと、人間の体は副腎や膵臓から出るホルモンを使って『糖新生』を行います。これです。副腎が弱っていて、ホルモンを出す機能が低下している時に、さらにホルモンを必要とする『糖新生』を強要するなど、あまりにも残酷なことを僕は続けていたのです。

日々の強いストレスに加え、僕は自分で自分の体にさらなるストレスを浴びせ、エネルギーを奪い、疲労を増長させ、副腎疲労のアクセルを踏んでいたのでした。

そんなこと、知りませんでした。ダイエットの本にも書いていませんでした。たとえ書いてあったとしても、僕は副腎疲労だなんて思ってもいないし、そもそも副腎疲労なんてものがこの世にあることすら知らなかったのだから…。