副腎疲労で失ったもの

副腎疲労になって、最も辛いことの1つは、好きな事ができなくなってしまうことです。

まるで人生の一部をどこかに落としてきてしまったような気持ちです。

このブログでも何度もしつこく書きましたが、僕はかなり熱心なウエイトリフターでした。少ない時でも週に4回は必ず行っていました。

weight lifting

ジムで日本人の友達もできたし、決して多くはない外国人のメンバーの中で、僕はほぼ毎日通っていた珍しい外国人で、色々な人が話しかけてくれました。

冗談を言ったり、筋肉談義やいろいろな話をしたりしてとても楽しく過ごしていたのですが、それもできなくなってしまいました。

ウエイトリフティングは、日本での唯一の趣味でした。ストレスが多い日々でも、ジムで汗を流して友達と他愛ない話をしていると、ストレスを忘れることもできました。

そのジムが僕の日常からなくなってしまい、まったく趣味のない退屈な男になってしまいました。

最近では、苦し紛れに「皿洗いが新しい趣味」などと言って、気を紛らわしています。

2016年の暮れに1年間のジムの休会届を出し、その後は6か月ごとに休会の更新手続きに行っています。かれこれ4回を数えます。半年我慢すれば、またジムにも行けるはず、という希望を込めて、休会を6か月にしているのですが、結局2年半以上休会したままで、なかなか戻ることができません。

application

でも半年に一度手続きに行くと、何人かの友達が僕を見つけてくれて、必ず「いつ戻ってくるの?」と聞いてくれます。

それがなんだか嬉しくて、なんとしても早くよくなってまたジムに行きたい、と思わせてくれます。

海外のジムなら、そんな優しい言葉を掛けてくれる人はまずいません。他人のことなど気にも留めないし、姿を見せなくなったら忘れられる、という感じです。

 

もう一つ、淋しい気持ちになるのは、午後6時とか7時頃に駅の周辺を歩いていると、居酒屋やバーでワイワイお酒を飲んでいる人を見る時です。

izakaya

飲みに行くのが好きでした。ドリーとも毎日のように一杯飲みに行ったし、仕事の仲間やクライアントの人とも何かと理由をつけては「懇親会」「反省会」と称する飲み会を開いていました。

今では、1滴もアルコールは飲まず、97%家で食事をしています。

 

住んでいるマンションの窓から外を眺めると、公営のテニスコートがあって、そこで僕よりずっと年上の人が元気にテニスをしていたり、ジョギングをしている人、ゲートボールをしているシニアの人が見えます。

tennis

自分はというと、彼らより一回りも二回りも若いのに、体はヨボヨボで何一つできない。

何年か前まで、何も考えずに何でもできていたのに、それが今では家でじっとしているだけという信じられない事態に愕然とします。

 

旅行も完全にお預けです。ドリーも僕も海外旅行が好きで、忙しい中でも時間を作って世界を旅行しました。しかし今の僕の体には、飛行機も時差も日付変更線もすべて敵です。

今年の10連休も、結局どこにも行かず、僕はいつも通りの退屈な毎日を過ごしました。

休みの前にドクターには、旅行の可能性について聞いていました。すると「2~3時間で行ける場所で、同じ時間帯の場所であれば大丈夫でしょう」と言ってくれました。これは小さい1歩ですが前進です。グアムとか韓国とかなら大丈夫そうです。

それでも、家にいると決めました。どこに行っても混雑しているし、それでまたストレスを感じるだろうし、せっかく回復を実感している今、リスクをとって出かけなくても、もっと体調が良くなって、100%自信を持って行けるようになってからで良いではないかと思ったのです。

副腎疲労になって失ってしまったものは、小さなことから大きなことまで、多くあります。

仕事も、友達に会う約束も、飲み会に参加する事も、「そうだ、京都行こう」と思い立ってちょこっと週末旅行に行くことも、何一つできません。

どこまでやって大丈夫か?と考えずになにかをやる、ということがもうできません。

ふと思いついてどこかに行くとか、何かをするとか、そんな自発的な行動がまったくなくなってしまいました。

何をするにも、ものすごく慎重にならなければなりません。

やり過ぎていないか、いつもより負担がかかっていないか、タイミングは大丈夫か、などなど、人が見たら馬鹿かと思われる位、小さなことを気にしながら、細心の注意を払って行動しなければなりません。

副腎疲労症候群の生活には「当たり前の」とか「普通に」とか、そういう考え方がありません。

 

4月から少しずつ、仕事をするにあたって、ドクターからアドバイスされたのは、何か予定がある日の前日は、何もせず(ヨガやウオーキングもすべて)とにかくエネルギーを温存すること。

そして仕事などをした日の翌日も同様に、一切エクササイズをせず、完全に休息日とすること、という事です。

1日何かをするために、前後1日ずつ予備日をつくって体を休めないと、機能しないという…何とも淋しい状況ですが、僕はそのアドバイスを実直に守っています。