副腎疲労になってしまう最大の原因はストレスです。ストレスを受け続けているのに、何もせず放っておいたり、ますます強いストレスを受け続けると、人間の体は崩壊してしまいます。
でもストレスにも、良いストレスと悪いストレスがあります。
長い人生の中で、誰もが様々な出来事や状況に遭遇しますが、何が悪いストレスで、どれが良いストレスであるかを理解することは本当に重要です。
悪いストレス
悪いストレスは、一言で言えば「苦痛」です。日常生活を妨げるような状態、日々やらなければならないタスクができなくなるほどの重し、しかもそれが継続して身に降りかかる、そんなストレスはディストレスと呼ばれる悪いストレスです。
こういう悪いストレスが軽減されずに続くと、これは健康に害を及ぼすことになります。
コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンがドバっと出ても、それが一時的なものであったり、短期で収まれば、人はちゃんと対応できるのですが、長期に渡っていつまでも続くと、副腎の機能が低下し、HPA軸の調節不全に陥ります。
悪いストレスが特に影響を及ぼすのは、免疫システムです。免疫が弱くなると、風邪、咳、インフルエンザなどの病気にかかりやすくなります。
もっと深刻な場合には、消化器系と生殖器系の両方が発症します。
また、ストレスは、鬱病、心臓病、体重増加、記憶喪失などの病気を引き起こすという研究もあります。
しかしながら、人生の中で悪いストレスに見舞われることは結構あります。最も一般的なものは、やはり恋愛関係や夫婦関係におけるトラブルです。
そして、職場や仕事で不快なまでに高い要求をされたり、理不尽な理由で不当な扱いを受けたりすること。
また、家族や親しい人を失うことなどです。
このような耐え難いストレスを受けてしまった時には、自分でそのストレスを軽減しなければなりません。自分の体が蝕まれるほど、ストレスに耐えることに何の意味がありますか?
とにかく、その日その日のストレスを少しでも和らげるために、呼吸運動、軽い運動、瞑想をしましょう。「なんだ、そんなこと?!」と思うかもしれませんが、今日のストレスを明日まで同じレベルで持ち越してはいけません。少しでも軽減させて、夜眠る必要があります。
そうやってできるだけ自分にのしかかるストレスを軽くする試みを続けながら、そのストレスを根本的に取り除く策をねって下さい。
自分の考え方を変えることで、同じ状況でも違って見えることももちろんあります。あるいは、究極の方法は、人との別れかもしれませんし、仕事を変えることかもしれません。引っ越しすることかもしれません。
とにかく自分で動かなければ、ストレスから退場してくれることはほとんどありません。
良いストレス
良いストレスはユーストレスとも呼ばれます。定期的に経験する軽度のストレスで、緊張するような瞬間や、ちょっと難しいことにチャレンジする場合に感じるストレスです。
このようなストレスは、人を衰弱させるのではなく、与えられた任務や目標を達成するように鼓舞してくれます。
身体に害を及ぼすようなものではなく、軽度の刺激や緊張感で、脳機能を強化し認知能力を改善することが証明されています。
大事なことは、そのストレスは短期間だということです。ある期間、難しい事にチャレンジしたり、緊張する場面を経験することで感じるストレスは、身体の闘争能力を高めてくれます。
ユーストレスは、自分にとって少しハードルの高い障害を乗り越えようとする動機を伴うもので、到底無理なことをやらされるような類のものではなく、基本的にはなんとか克服できるだろうと自分でわかっているタイプのものです。
このような良いストレスは、人生の中で定期的に経験するものです。例えば、大勢の人の前でスピーチやプレゼンテーションをするとか、資格試験や実技試験を受ける、新しい技やスキルを身につけるために訓練を受ける、論文やプロジェクトなどを締切に間に合うように完成させる、というようなことです。
ユーストレスは、目標を定めてそれを克服することで達成感を味わったということが決め手になります。
「苦痛」と比較してみてください。「苦痛」は人に幸福感や達成感を与えることは決してありません。心と体を疲弊させるだけです。
人は不安や焦りを感じても、それが短期間で、課題が完了するとすぐにリラックスに変わります。ストレスから解放された体は回復する時間が十分にあるので、爽快な経験だったと感じることができます。
ユーストレスは、精神をシャープに、体を健全に保つことから、定期的な良いストレスは、人にとっては恩恵となるのです。
自分がストレスを受けている時に、それが良いストレスか悪いストレスかを判断するのはとても難しいです。
同じことをしても、それを良いストレスだったと感じる人もいれば、もう二度とあんなことはしたくないと悪いストレスに感じる人もいます。だから、他人に判断してもらうこともできません。
たとえば、大勢の人の前でプレゼンをする、というケースで考えてみましょう。ちょっと緊張するけれど、やってみたい、挑戦したいと思い、終わった時には大きな達成感を味わえる人がいます。 でも、何週間も前からその事ばかりを考えて、恐怖感と不安ばかりが募って、なんとか終えた後は、とにかく疲れ果て、うまくできなかったと落ち込み、人の反応が怖くなり、もう絶対にやりたくないと思う人もいます。
だから、自分がどんなストレスを受けているのかを判断するのは、すべて自分にかかっているのです。 それによってやる気が起き、活気づくのであれば、それは良いストレス。とにかくやりたくない、心配、不安しか感じないのであれば、それは悪いストレスです。
自分にとって、良いストレスか悪いストレスかを見分け、悪いストレスをできるだけ排除することが、副腎疲労の予防、または副腎疲労から回復するための鍵です。